伝わる上手な話し方 緊張、上がり症克服のコツは2つ
2015/02/10
どうしても人前に出ると緊張してしまう、自分は上がり症だという方もいると思います。人前で話す仕事を長くやっている人は人数が何百人になろうと緊張することはまずありませんが、生まれながらに図々しかった訳ではありません(笑)。どのように緊張を防げばよいのかを、多数の講演経験を踏まえて責任を持って記述します。
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緊張しない上がらないコツその1 最初の数分程度をごまかす
実は人がもっとも緊張するのは、最初の数分程度だけです。逆に言うとよほど慣れていない限りどんな人でも最初の数分間だけは程度に差はあれ緊張はします。慣れていない人は、この緊張がずっと続くと思い込みかえって自分を追い込んで悪循環に陥ってしまうことがあります。
一方、慣れている人は、最初だけは緊張することがわかりきっているので、この数分間をうまくしのぐ方法を身につけています。
多くの人が失敗をするのは、この「魔の3分間」とも言うべき時間帯に、比較的緊張しやすい自己紹介を盛り込むことにあります。名刺交換や自己紹介は、かなり慣れた営業マンでも多少は緊張するものです。
そこで、プレゼンや講演形式の場合この数分間に「資料確認」を入れてしまうのが手です。自己紹介の前に、お手許の資料を確認させて頂きます。まず、一番大きな用紙は……、これは……という風にやっていれば、かなり落ち着いてきます。
営業マンの場合も名刺交換では口が慣れている会社名、部署名、氏名だけのシンプルな名刺交換にし、資料を渡します。本来は世間話から入るのがいいのですが、慣れるまでは資料を見てもらいながら徐々に脱線する形でもいいと思います。
また、すぐに話し始めないで、相手が違和感を持たない程度に、メモを確認するなどしてスタートを遅らせるのも意外に効果的です。相手の雰囲気に飲まれず、相手がこちらに合わせてくれるように構えが変わるのでスッとスタートしやすくなることもあります。自己紹介はホワイトボードがある場合、そこに名前を書いて短時間背を向けるのも立ち上がりを安定させるコツです。
・プレゼン、講演 (開始時間)少し間をおく → 資料確認 → シンプルな自己紹介 → 本題
・営業 (面談開始)シンプルな自己紹介 → 資料をすぐに渡す → 落ち着いてきたら世間話も → 本題
・スピーチ (開始時間)少し間をおく → 最初は語句の間に一息入れ意識してゆっくりと読み上げる → 本来のペース
緊張しない上がらないコツその2 目線を入れ替える
さて、人はそもそもなぜ上がったり緊張をしてしまうのでしょうか?逆に言うとちょっとした資料確認が緊張をほぐすのはなぜでしょうか?
資料確認の間の聴衆の目の動きをイメージすると分かりやすいかもしれません。資料の確認中、聴衆は自分の資料を見ることが多く、話者と目が合うことはあまりありません。人の目線には力があり、相手に影響を与えます。慣れるまでは、多くの視線を受と浴びると固くなってしまう人が大半です。
このように上がるというのは根本的には目線の問題です。よほど慣れるまで、プレゼンや講演、営業の最初の時間帯は、無理に相手と目線を合わせないのがコツです。そしてぜひ覚えておきたいのが、「目線を入れ替える」という技術です。
逆転の発想をし、こちらが聴衆を一人一人順に見るようにするのです。前の列からでもいいし気になった人からでもいいので、持ち物をチェックしたり、性格を予想したりします。相手が一人なら頭の先からつま先までじっくりと観察をしていきます。
すると見られているという意識が和らぎ徐々に自分のペースになってきます。
おまじない、ツボ押しなどは効果があるの?
一般には、おまじない、ツボ押しなどで緊張をほぐせと言われますが、おまじないの暗示効果にはどうしても限界があります。本格的な上がり症の人や特に緊張を強いられる場では「おまじない」程度ではなかなか効果は出ません。また、人のつぼは体の奥深いところにあり、本来針や熱で刺激しないと効果がないとされていますので、これもおまじないの一種と考えてよいかもしれません。
伝わる上手な話し方のコツ 緊張を防ぐ方法まとめ
・人はまず理性ありきでなく、まず身体ありきの存在です。つまり、聴衆の目線が自身に突き刺さることが最大の緊張の要因です。放送室の放送設備で話すなら、たとえ相手が一万人でもさほど緊張しないものです。
・そのため、開始直後に聴衆の視線をダイレクトに浴びないことが本質です。
方法としては
1つめのコツ プレゼン(発表)、講演では資料確認から導入しをして目線をそらしておく。自己紹介は注目の視線を集めやすいのでシンプルに(以前の記事で触れたように、仰々しく長い自己紹介を避けるのも緊張対策にはなります)。
2つ目のコツ 少し落ちついたら、聴衆(相手)をじっくりと観察し「目線の入れ替え」という技術を使う。
今回は以上です。緊張対策、上がり症対策は、伝わる話し方、上手な話し方の第一歩です、がんばりましょう。
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[…] 伝わる話し方 緊張、上がり症を克服するには?(1)の記事では緊張、上がり症を克服するために「目線・視線」という観点から以下の方法をまとめました。 1 資料確認をして目線をそらしておく 2 自己紹介は注目の視線を集めやすいので、短めに 3 落ちつくまでは、聴衆に資料を見るように仕向けて行く 4 少し落ちついたら、聴衆を観察し視線を入れ替えていく 今回はスケートの羽生選手が緊張、上がり症対策としてとっている方法の一つを紹介します。 ①ブライアン・オーサー氏の経歴 羽生選手のコーチであるブライアン・オーサー氏。 もともとスケートの選手で、カナダに生まれ2つのオリンピックで銀メダルを獲得しています。 引退後には韓国のトップスケーターのキム・ヨナを指導。 腰痛や精神的な弱さでボロボロであった状態から見事に立て直し金メダルに導きます。 その後キム・ヨナとは袂(たもと)を分かち羽生結弦と出会います。 オーサー氏は選手時代に心理学者の指導を受け視覚によるメンタルトレーニングを得意としています。 また、理屈として分かりやすいものに […]