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伝わる話し方のコツ 話し上手は具体例が9割(2)

      2015/01/23

以前の記事で「話し上手は具体例が9割」(こちらから)という内容をお伝えしました。人の思考は具体例に始まり、抽象概念を形成していくのですが、実は最後の最後まで潜在意識では具体例が脳裏で稼働しているという内容でした。そのため、伝わる話し方において、具体例の多用とその質は極めて重要になります。今回はその具体的な事例を紹介します。

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ウィキペディア財団は寄付で運営されている

ネットにある知識の百科事典としておなじみのウィキペディア。かつては情報リテラシー(=活用力)の教育において、「ウィキペディアは間違っていることもあるので鵜呑みにしない」ということがよく言われました。現在は一般の人が書く質や正確さをあまり問われないブログ類がかなり増えたこともあり、むしろウイキペディアは比較的丁寧に裏付けが取られている質の高いメディアとして評価されつつあります。

マニアックで異常なほど細かく要点を見つけにくいという欠点はありますが、スポンサーをつけていないので、自由に記述できるという良い点もあります。スポンサーをつけていない分、その運用資金は寄付に頼っています。

 

ウィキペディア財団の「上手な伝え方」

ウィキペディアに寄付をすると例えば次のようなお礼文が来ます(翻訳、一部省略)。

あなたの寄付は単に、あなた自身へのサービス提供コストをカバーするだけのものではありません。(中略)他の何百人もが利用するためにも支払ってくれているのです。あなたの寄付によって、例えば次のような人々がウィキペディアを利用し続けられるようになります。プログラミングを独学で勉強している大志を抱いたバンガロールの子ども、パーキンソン病であると診断されたばかりのウィーンにいる中年の主婦、1850年代の英国について調べている小説家、カール・セーガンのことがたった今わかったサンサルバドルにいる10歳の子ども、といった人々です。

寄付によって助けられる人々が、具体的に示されていることで伝わる上手な書き方になっています。手紙はいろいろなパターンがあり、さらに具体性を強化したバージョンもあります。

世界中のすべての人に知識を届けるという、かけがえのない贈り物をしてくださいましてありがとうございます。(中略)わたしたちが知識を届けたのは、例えばインド・ソーラープル出身のアクシャヤ・アイエンガーのような人々です。織物業が盛んなこの小さな町で育ったアクシャヤは、ウィキペディアを一番の教科書として学習してきました。 この地域の学生には、本がほとんどなかったものの携帯からはインターネットに繋げることができたので、ウィキペディアがとても役立ちました。アクシャヤはインドで大学を卒業し、今ではアメリカでソフトウェアのエンジニアとして働いています。アクシャヤは自分の知識の半分はウィキペディアのおかげだと考えています。

この手紙では、具体的にひとりの人物に絞って詳細に書かれているため、より印象に残る伝わる上手な書き方となっています。例えば、いまこの画面を閉じたとしても、インドのウィキペディアを片手に成長した子供の話は頭に残っているでしょう。

 

二流の話し手と一流の話し手

相手がメモを取ることに期待する話し手は二流といえるかもしれません。

まず、メモは取らない人もいます。仮に取ったとしてもそれを後から見返したり、ましてや頭に入れるためにまとめたりする人はめったにいません。人の話を確かに受け取って自分のものにするコツは、メモは当然のこととして、後から自分の頭の中の知識や具体例、体験との連結を図り、再度自分の言葉としてアウトプットすることですが、それを実践できている人は1%を下回ります。

したがって、しっかりした話し手は極力その場で、具体例を駆使し話を聴衆の頭に打ち込むことを目指します。その場で伝えられなかったことが、渡した資料などをもとにあとから聴衆に正確に伝わるようなことはまずありませんので、しっかりし話し手は要点を絞り伝えきるということに全力投球しています。

※ただし、参加者が本人の意思で申し込んできているセミナーや学習会などは必ずしもこの限りではありません。かなり情報を詰め込んだレジメや資料でもあとからよく読みますので満足度につながってきます。しかしながらこのーケースでも、具体例をしっかりと用いたほうが「消化不良」のイメージは回避できます。

今回の伝わる上手な話し方のコツ

具体例を多用し、聞き手の頭の中にある具体的な記憶と結びつけ、その場で覚えさせてしまうのが伝わる上手な話し方のコツです。

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