伝わる上手な話し方 お笑い芸人に学ぶコツ(腹式呼吸の嘘)
2015/02/10
「なぜ同じお笑い芸人でもキャプテン渡辺は面白くなく 明石屋さんまは面白いのか」。失礼な冒頭文になってしましましたが、裏を返せばキャプテン渡辺さんはもっと売れていいということです。
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出典:http://ameblo.jp/captain-maou/
お笑い芸人・キャプテン渡辺とは?なぜ売れないのか
お笑い芸人のキャプテン渡辺さんをご存知でしょうか?182センチの長身のイケメンで、女性ファンも多いタレントです。得意のネタは「クズ」というジャンルで、貧しくてどうしようもない人間がどこか愛らしい人をギャグにしているピン芸人です。
高校卒業後プロレスを経て、演劇、そしてお笑い芸人と渡り歩いてきたキャリアを持ちます。現在30代の半ばです。過去、お笑いの「R1グランプリ」(吉本興業主催のピン芸コンクー)において2年連続決勝に進出していますが、なかなかブレイクせず、趣味を生かして競馬関係番組(テレビ東京系のウイニング競馬)などの仕事もしています。
実際に競馬場で見かけて人は感じのいい人だとの感想を残していますし、芸歴も長いですのでネタもまずまずです。イケメンで感じがよくネタもまずまずなら売れてもおかしくないと思いませんか?系統としては明石屋さんまさんに通ずるものもあると思います。
明石家さんまやたかた社長 なぜ伝わる上手な話し方が可能なのか
キャプテン渡辺さんの動画を見て研究したところ、話し方に1つだけ伝わりにくい要素があるののではと思いました。端的に言えば声が高すぎることです。
人の声は実は低く安定した地声と息が抜けるような高い声が混ざりあっています。安定した地声は聞きとりやすいのですが、それほど感情は伝わりません。高い声(少し高い声で「やっほー」と言ったときに出てくる声)は気持ちが伝わりやすい反面、少し聞きづらい部分があります。特に連続して使ったり多用したりすると聞きづらくなります。
キャプテンさんの場合は、常にそうということではありませんが比較的高い声を多用するため聞きづらく、頭にダイレクトに入って来ないので聞き手の集中力が切れてしまうことがあるのではないでしょうか。
明石家さんまも声は高いほうかもしれませんが、よく聞くと安定した地声が混ざっている形です。また、声が高いといイメージの強いジャパネットたかたの、たかた社長もベースは低い声にあります。値引き額や自慢の機能など強調したい点はピンポイント的に高い声になりますが、全体に聞きとりやすくなっています。
例えばキャプテン渡辺の動画と、明石家さんまやたかたさんの動画を声だけ聞きくらベて頂くと、理解できるかと思います。
低い地声の訓練の仕方 腹式呼吸の嘘
キャプテン渡辺も演劇を経験しているのですが、演劇の世界でも発生の訓練方法は様々なものがあり必ずしも正しい方法で訓練されているとは限りません。
たとえば演劇関係の角度から発声についてインターネットで調べると次のような内容が出てきます。
・腹式呼吸は発声には必須
・音声は口腔内で共鳴するため口を大きく開けるのが基本
この2つの誤り、特に腹式呼吸、腹から声を出すといった考え方が、実は多くの人を困らせています。声が小さく悩んでいる人は、インターネットや書籍で正しい発声の仕方を調べるでしょう。すると必ずと言っていいほど腹式呼吸を訓練するように書かれています。
そして実際に腹式呼吸を訓練するわけですが、やったことがあるならお分かりのようになかなか短期間では身に付きません。またその時に身についたとしても、呼吸は無意識に行うものですから日常の会話でずっとそれを気にかけていることは難しいのです。例えばよい姿勢を習っても、姿勢というのは無意識に形成されるものですからなかなか身につかないのです。そしてうまくいかずに挫折してしまうのです。
しかし、実は腹式呼吸は必須のものではありません。演劇を例にとれば、プロの俳優にはお腹を強く締め付けるコルセットを巻きながら地声でホールに響き渡る声を出せる人も多くいます。コルセットを巻いた状態で腹式呼吸をするのは難しと思うのですが、難なく大声が出るのです。つまり腹式呼吸は正しい発声に必須のものではありません。
また、口を大きく開けるという理論も誤りです。周りの人で話し上手な人の口元を見ていただければわかりますが、口を大きく開けている人もいない人もいます。口を大きく開ける人も実は口をすぼめてもよく通る声は出せるのです。
伝わる上手な話し方をする上で発声には何が必要なのか
発声に必要なのは実は口を大きく開けることでなく、その人に合った口腔内の大きさを確認して記憶してしまうことです。たとえば口の中に梅干し一つが入っているイメージで状態で発声してみます。次に段階的に口を大きく開けて発声をしてみます。
・梅干し一つくらい
・卵の黄身くらい
・ピンポン玉くらい
・卵ひとつくらい
・みかんくらい
このように口腔内の大きさを段階的に大きくしながら「アー」でも良いですし、手近にある文章を読むでも良いですし、口の大きさを試していきます。そして一番自然で楽に大きなよく通る声が出る大きさが、あなたにとってベストの口の大きさになります。
これだけで声が通らない、緊張すると声が出なくなるという悩みが解決する人も多くいます。緊張すると声が出なくなるという人は、口を大きく開けるように意識しすぎてうまくいかないケースが目立ちます。
もう一つのコツは舌が浮きすぎていないかです。人は緊張すると舌の位置が浮きすぎてしまうことがあります。これも舌の位置を段階的に変えながら自分にとってのベストポジションを探すだけです。コツは誰にとっても低めのポジションが正解だということ。これを意識してやっていきましょう。
もちろん腹式呼吸が無駄というわけではありません。上述した基本を踏まえた上で、より良い声を出したい、あるいは歌を上手に歌いたいという場合は、腹式呼吸が必要になってきます。普段使いのコミュニケーション、プレゼン(発表)、営業、面接、スピーチ程度ならすぐに腹式呼吸をマスターする必要はないかもしれませんが、レベルアップするためには必要なことだと思います。そういう場合には町中の話し方教室やボイストレーニングの場を活用してみるとよいと思います。
今回のまとめ
お笑い芸人のトップを維持し続ける明石屋さんまが「伝わる上手な話し方」である理由
・高い声のようだが、実は低い地声がベースにあり聞き取りやすいこと
低い地声の訓練方法
1 自分にとってベストとなる口(口腔内)の大きさを知る
2 自分にとってベストとなる舌の位置を知る(面倒な場合は低めのポジション意識すれば十分)
3 より良い声を目指すには話し方教室やボイストレーニングの場を活用する
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