伝わる上手な書き方 「3色のイメージ」だけで文章が見違えます
2015/01/23
何かを話すにあたり、草稿や話の展開を作る際には文章同様構成力が必要です。今回はプレゼン(発表)、営業、講演、面接、スピーチ等のほか、書くこと(ライティング)そのものにも使える技術をお伝えします。
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伝わる書き方・話し方 まず伝えたいことを明確に
人前で何か話をするにあたっては、最も伝えたいことを絞っておく必要があります。時間がある場合やレジメを併用する場合など、つい多くのことを盛り込みがちですが、あとからレジメを見返すような聴衆はまずいません。レジメを大切にファイルに入れて持ち帰ってくれる人が大半ですが、それは話者へのマナーでありなかなか自宅で確認してはもらえません。現場が勝負です。要点ははっきり絞っておきましょう。
ちなみに全体として伝えたいこと(主張)の数は、話す時間の長さにもよりますが3または5がおススメです。3や5はすっきりととした数だという、人の心理があり受け入れやすい数だからです。もちろん、時間が短い場合は1や2、時間が長い場合は7や10という数も候補になります。
ただ、話すことに慣れてくると、聴衆の反応を余裕をもって見ることができるようになり、表情やしぐさから上手く伝わっていない点を繰り返したり、再度説明したりすることが意外に多くなりますので、準備段階で伝えたいと思った数により内容を絞っておくと良いでしょう。
例えば、30分間のスピーチで3つ伝えようと思った場合。集合時の遅れや、司会者の紹介の時間、自己紹介の時間、聴衆の反応を見て繰り返す時間など、意外なほど時間のロスがあります。優先的に伝えたいことを2つに絞っておくのがおススメです。
なお、多少上級の内容ですが「もっとも伝えたいこと」と「伝えたいこと」を分けて設定しておくのがお勧めです。例えば伝えたいことが5つある場合、もっとも伝えたいこと1つと、その他4つに分けておくのです。そしてその他の4つを「もっとも伝えたいこと」に関連付けて話していくと不思議なほどまとまった内容となります。
伝わる書き方・話し方 主張
今回はこのサイト独自の方法である「3色イメージ法」の使い方を説明していきます。まず上のように主張(伝えていこと)を明確にイメージします。赤い色を使ったのは、自然の色である緑色などに対して「抽象的」というイメージを含ませたいことと、伝えたいことには「情熱」が籠るはずだというニュアンスです。
伝えたいことというのは、たとえば「日本食の良さを見直そう」あるいは「キノコの良さを見直そう」というように若干抽象的な側面があります。
具体と抽象というのは文章を書いたり、人に話すすうえで非常に重要な概念ですので少しだけ説明をしておきます。
例えば、次のような関係が具体⇔抽象の関係です。
・具体(リンゴ)⇔抽象(果物)
これは難しくありません。「果物」そのものはこの世に存在しないので、ズバリ「果物」をこの場に持って来たり、「果物」そのもを食べることはできません。もちろん具体的なものは、みかんでもブドウでも構いません。
・具体(ペン)⇔抽象(??)
(??)の部分はお分かりになるでしょうか?筆記具または文具と答えてほしいところです。道具やモノという答えもあり得ますが、具体と抽象には段階というものがあり、少し段階が飛びすぎているということになります。
・具体(パン)⇔抽象(??)
こちらには食べ物が入ります。小麦粉という答えがよく出ますが、「パン」を抽象化するというのは広く一般化することですので「食べ物」「食糧」等が適当でしょう。
・具体(??)⇔抽象(ファストフード店)
こちらにはマクドナルド、モスバーガー等が入ります。
・具体(ファストフード店)⇔抽象(??)
こちらは少し難しいかもしれませんが、飲食店という答え方がベストだと思います。この組み合わせでは、具体の欄に入っている「ファストフード店」も実際にはそのものは存在しないので抽象的な部分があります。
少し難し話になりますが、このように具体と抽象というのは提示されたものとの関連性によってさまざまな側面を持ちます。ファストフード店に関する文章を書けば、ファストフード店が抽象的なテーマになりますし、飲食店に関する文章を書けばファストフード店が具体的な例になるのです(この項目は理解できなくても差し支えありません)。
話が少し広がりましたが、話したいことや書きたいことを考える前に、主張(伝えたいこと)を絞り、複数ある場合には「もっとも伝えたいこと」を設定するという手順を理解してください。
伝わる書き方・話し方 具体的な例・体験・理由
さて、「日本食の良さを見直そう」あるいは「キノコの良さを見直そう」という主張だけを書いたり、相手に伝えたたりしても、漠然としすぎていてイメージがわかずまた根拠がないため腑に落ちないという風に読み手や相手は感じます。詳しくは ⇒ 伝わる話し方のコツ 話し上手は具体例が9割。
そのために「具体的な根拠」を提示します。
具体的な根拠の代表的なものは、具体的な例・体験・理由となります。具体的なものというのは身近に実在するものですから、木や緑の色としてグリーンで表示しています。
「キノコの良さを見直そう」という主張を伝えるうえで、意外なところでエリンギを例にとってみます。
写真にあるように、意外に思われるかも知れませんが実は「エリンギは和食とすごく合います」。
さらに、「βグルカンという他のキノコにはない栄養素を含みこれは風邪予防やがん予防になります」
いかがでしょうか?「キノコの良さを見直そう」と言われてもピンと来なかった人でも、和食と合うという具体的な体験や風邪予防やがん予防という具体的な理由を出されるとなるほどと思うものです。
ちなみにこのサイトを何度かご利用いただいた方はお気づきの通り「がん予防」というのは「4つのS」の一つである「死」に当てはまります。詳しくは ⇒ 伝わる上手な話し方 簡単に説得力ある原稿が書ける4つのコツ。また少し話が難しくなりますが、レベルの高い文章(精密な根拠が必要となるプレゼンや難関大学の小論文試験など)を書かれる方は、具体的な例、体験、理由の概念ほかに、「説明、データ、引用」という概念を付加しておくと汎用性が高まります。データとは統計数値などですし、引用とは権威ある筆者の文献からの引用のことです(もちろん、ことわざや名言といった身近なレベルの引用もあります)。
話が少し広がりましたが、主張(伝えたいこと)に対して、その内容のを証明しつつ相手にイメージをしっかりと与えるような具体的な例、体験、理由が必要ということです。
伝わる書き方・話し方 対比
さて、何か物事を伝える際には、可能であれば対比内容を設定しておくとより説得力が増します。もし日本のことを伝えたいなら、アジアや欧米と比べてみてもいいですし、単純に既成概念(一般論)を否定することも立派な対比です。
もし「キノコの良さを見直そう」という主張を伝えたいならば、まず次のような内容を説明してはどうでしょうか。
・エリンギというキノコがありますがどんな料理に使われますか?パスタ、ハンバーグの添え物、コンソメスープ。そうですマッシュルーム同様洋風料理に合うキノコがエリンギですよね。
・でも実は、意外に思われるかも知れませんが実はエリンギは和食とすごく合います。
このように対比の流れを組むとインパクトが強く記憶に残りやすくなります。対比そのものは実は立証効果はないのですが、人は先入観を覆されたり、夜から朝、白から黒といった変化にはすごく敏感です。
かなり人間心理に踏み込みますが、なぜ人は対比的な話し方に惹かれるのでしょうか?その答えは人間という動物の生き残るうえでの本能が対比に敏感だからなのです。例えば古代の人間をイメージしてください。獲物を多い草原を走っています。柔らかかった地面が急に固くなります。脳はこの対比構造に強く反応します。案の定少し先に大地の裂け目がありピンと来ていなければ命を落とすところでした。また、青空に急に影が差してきます。これは雷雨の前兆かもしれません。このように対比は人の本能に訴求する力があるので説得力を持つのです。
伝わる書き方・話し方 まとめ
いかがでしたでしょうか?「キノコの良さを見直そう」という主張を伝えるために、上の図のような3色のイメージを使用すればかなりの説得力が出てきます。最後にその流れを掲載しますので、図と見比べながら確認をお願いいたします。
・キノコの良さを見直しませんか?(主張)
・エリンギというキノコがありますがどんな料理に使われますか?パスタ、ハンバーグの添え物、コンソメスープ。そうですマッシュルーム同様洋風料理に合うキノコがエリンギですよね。(対比内容)
・でも実は、意外に思われるかも知れませんが実はエリンギは和食とすごく合います。(具体的な体験)
・エリンギは、βグルカンという他のキノコにはない栄養素を含みこれは風邪予防やがん予防になるんですよ。(具体的な例)
・すべてのキノコが食物繊維など豊富な栄養素を持っています。(具体的な理由)
・今日を機会にキノコの良さを見直してみませんか?(主張)
なお、レベルの高い文章(精密な根拠が必要となるプレゼンや難関大学の小論文試験など)では、体験をカットして代わりに具体的なデータや引用を使用していきます。また、冒頭の主張を「キノコはお好きですか?」とし主張を隠す形にすると序論・本論・結論(=主張)の構成になります。聞き手や読み手にすぐに結論(主張)を伝えずに興味を引き付けながら進行したい場合は、序論・本論・結論の構成が望ましいでしょう。
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