伝わる話し方のコツ 話し上手は具体例が9割
2015/02/10
人にものを伝える上で、論理的なものがあくまで中心で、具体例は補助的な道具だと思っている人がいます。特に学力が高い方に多く、恐らく学校教育のなかでどこかで誤解が生じてしまっている可能性もあるのですが今日はそこを考えていきます。
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これは伝わる上手な話し方のコツというだけでなく、伝わる上手な書き方、ライティング力にも通じてくる内容です。
伝わる上手な話し方 人の発想は具体例から
例えば算数の「1+1=2」という計算は、大人は抽象的に理解しているはずです。毎回りんごが1つ、りんごが1つと思い描いて計算する人はいないということです。ただ、幼稚園や小学校で計算を勉強している過程では、りんご、バナナ、みかんの絵から入って行ったはずです。どんな事柄も、初めは具体性の高いレベルから導入していることを思い起こしてください。
プレゼン(発表)、営業、講演等人に話して何かを伝えるという場合、相手が詳しくないことや現在気づいていないことを扱うはずです。相手が熟知していること、知っていることを話すとしたらそれは恐ろしく無駄な時間ですがそのようなプレゼンや講演は存在しません。相手はあなたが話す内容を初めて知るわけですから、当然具体例からはいっていくべきなのです。
・講演においては自分の立場でなく相手の立場に視点を置くようにする。
このように抽象的な言い方をしても何のことかわかりません。
・オバマがYes, we can.と聴衆を主語にして訴えたように、講演においては自分の立場でなく相手の立場に視点を置くようにする。
このように具体的な言い方をして初めて伝わる話し方、上手な話し方となっていきます。
伝わる上手な話し方 人の発想は具体例が中心
例えば先に挙げた算数の「1+1=2」という計算は、大人にとって抽象的な形で理解されているはずです。しかし、どんなに抽象的に言葉やものごとを操作できるようになっても、潜在意識では具体例が稼働しているという説もあります。
例えば「協調性を重んじて行動しよう」というフレーズ。この言葉は抽象的なワードのみから構成されています。しかし、多くの人はこの言葉を聞きながら脳裏(潜在意識)で人が仲良く話している像をかすかにイメージしている可能性があります(意識として薄すぎて気づかないだけです)。
特に学力の高い若い男性は上の話を聞いてもピンと来ないかもしれません。学問は確かに抽象的なワードや図式を操作します。しかし、例えば物理学でも基礎を学ぶときは、実在する具体的な現象をイメージしながら頭に入れていくものですし、マスターした後もいつでも具体的なイメージに戻ることができます(簡単に戻ることができるというのは、気づかないほど薄く意識している証拠です)。
もし、あなたが8割程度を内容のボディそのもの(論理的、抽象的なもの)に費やし、具体例が2割程度だったり、時間があったら触れる程度の位置づけにしていたりするとしたら、上手な伝わる話し方にはなっていないかもしれません。
※注 きわめて例外的な状況として、プレゼンや営業において消費やサービスに非常に精通している人に何かを伝える。そしてかつ相手方が具体例やたとえ話を本人があまり使わないタイプ。この場合は、相手はもう話を分かっていていわば儀式的にトークをしているわけですので、ボディそのもの(論理的、抽象的なもの)で素早く展開したほうがいいでしょう。ただしこういう事例はそれほど多くありません。
上手な話し方のコツ 具体例で伝えよう
今回の内容はご理解いただけたでしょうか?今回もまずは算数の「1+1=2」という具体例を重視して説明を進めさせて頂きました。そしてオバマのYes, we can.というフレーズを具体例に挙げています。
頭のよい方ならこの具体例がなくても伝わったかもしれませんが、それは抽象的な話を聞きながらも、自分の頭の中からふさわしい経験や具体例を探し出し無意識のうちに結び付けているという操作をしているのです。
頭のよい方が講演やプレゼンで能力を完全に発揮していない場合、潜在意識の働き、身体の働き、感情の働きを軽視している場合が大半です。
・潜在意識の働き 具体例の機能を理解しているか。ハロー効果を理解し、服装や姿勢に気を配り上手な自己紹介(自己紹介の方法はこちらから)を行っているか。
・身体の働き アイコンタクトはどうか、身振り手振りは十分か
・感情の働き 笑顔は意識しているか、発声法は心得ているか
伝わる上手な話し方 なぜ具体例をつい軽視してしまうの?
出典:アマゾン(画面はクリックできます)
ところでなぜ具体例や感情よりも論理に偏った話し方になってしまう人がいるのでしょうか?それは実は完全に学校教育の問題です。人は生まれながらに具体的な体験を好み豊かな感情を持っています。しかし、例えば小学生高学年から中学生では、体験や気持ちだけを書き連ねたような作文を提出すればあまり評価はされません。もっと考えたことを理にかなった方法で書いてくださいと低評価を受けてしまいます。
もちろん仕事をし社会で生きていくためには抽象的な思考が大切ですのでこれは間違っているわけではありません。例えばセブンイレブンが出版している「なぜセブンイレブンでバイトをすると……」という本には、抽象的な思考ができない店員は、仕入れを任せても単純に前と同じ昨年と同じという選択をすることが多く売り上げは伸びないとのことです。抽象的な思考ができると、天候、近隣の学校行事、トレンドなどさまざまな情報を組み合わせ見込みを立てるので強気の発注ができるといいます。
このようなことからから学校教育は意識して具体的な思考、感情を抑制して切り離していきますが、その効果がてきめんに出過ぎる層があります。それが成績上位層なのですが、そのまま育ってしまうと意外なほど話下手になってしまうこともあります。
「伝わる上手な話し方のコツ」は所さんではありませんが学校では教えてくれないところなのです。
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