伝わる上手な話し方 簡単に説得力ある原稿が書ける4つのコツ
2015/02/10
今日は伝わる上手な話し方の重要なコツである4つのSをお伝えします。プレゼン(発表)、営業、講演、スピーチ、文章の作成に4つのSを入れるだけで良い原稿となり、話全体が強いインパクトを持つようになります。
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伝わる話し方、上手な話し方に不可欠な4つのSとは
「人に伝わる上手な話し方」というテーマを考える上で、まずは「人に」という部分に注目することが重要です。
「人」は、まるで腫瘍のようだと表現した評論家すらいるように、高度に発達した脳を持つ特殊な生き物です。しかし一方で、やはり動物的な本能を色濃く残しています。動物が一番恐れるものは何でしょうか?一見人懐っこい公園の鳩も、間合いを詰めすぎると「捕まって焼きとりにされるのではないか」と感じるのか慌てて逃げ出します。
ひとつめのS=「死」
人は常に死を恐れています。普段意識しなくても、体の一部が痛めば病気を恐れることがありますし、高いところに登れば恐怖を感じます。この恐怖心は、潜在意識のなかにあるので通常は自覚できませんがかなりの割合で私たちの意識や行動を左右しています。
ときどきキャリア教育として「フリーター防止講座」を依頼されることがあります。学生は先輩からの情報などで、一見すると正社員並みの手取りがあり時間の自由が利くフリーターにあこがれていることがあります。この考え方を短時間で揺さぶるとしたらどのような方法があるでしょうか?
ひとつは「死」のイメージを持ちだして印象付けることです。なお私自身フリーランスであり、フリーターの一種かもしれませんし、フリーターについて完全に否定する立場ではないのですが、学生相手にはひとまず避けることを指導するよう学校側から依頼されることが多くなります。
フリーターの場合、健康保険証を持っていないことが多くあります。日本は国民皆保険の国ですので、どのような働き方であろうと交付されますが、月に3万円程度の負担になってしまいます。この負担が厳しく不払いを続けるといくつかの段階を経て保険証が利用できなくなってしまいます。すると、例えば歯医者に行って虫歯を削って詰め物をするとして、通常3千円程度のものが1万円かかることになってしまいます。
すると健康保険証を持たないフリーターのなかには、少々の虫歯なら歯医者に行かないという横着者も出てきます。しかし虫歯が進んで欠けた歯を放置することは意外に危険で、ガンにつながることもあります。
実際には何とか支払いを続け健康保険証を保持しているフリーターも多いですし、虫歯がガンに結びつくことはまれなのですが、あえてその辺りの確率を無視して話すことで、短時間で「フリーターはあまりよくないのではないか」と印象付けることができます。こうして死に関連付けて話すことで内容はかなり強く印象付けられるのです。
どんな人も心霊現象、グロテスクな映像、ホラーなどに多少なりとも興味を持ってしまうように、人は意識するにせよしないにせよかなりの割合で死に囚われています。そこを突いて行くのが伝わる話し方、上手な話し方のコツです。
・食品に関するプレゼン(発表)なら → 摂取し続けると命を落とす可能性があることを強調
・ウオーターサーバーの営業なら → 原発事故による放射能の混入の可能性を強調
・社員にやる気を出させる講演なら → このままでは半年後に何名か解雇しなければいけないと強調
・結婚式のスピーチなら → 新郎は友人と遊んでいて死にかけたことがあると大げさに腕白な少年時代を話す
命の次に大切なもの=お金でも代用できます
命の次に大切なもの、現代社会で命をつなぐために必要なお金。これを失うということも「死」に近いインパクトを人に与えます。
・ここで選択を誤ると数百万損をすることになります
・この情報を知らないと就職できず生活できなくなるかも知れない
・これは知らないとかなりの損をすることになる
こういった言い方を意識して使っていくと、上手な話し方、伝わる話し方に近づいてきます。
ときどき誤解されるのですが、あくまで死や大金を失うという否定的な言い方でなければ効果は半減します。
・ここで正しい選択をすればトータル数百万位変わってきます
・この情報を知ることで将来就職できる可能性が上がり生活も安泰です
・知っているとかなり得する話です
同じようなことを言うにしても、裏返しにするだけでインパクトはかなり薄れてしまいます。
ふたつめのS=「すぐに、簡単に」
もし、命や財産を失うという方向に話を持っていけない場合どうすればよいのでしょうか?例えばダイエットの重要性を訴える場合などが代表的な事例です。もちろん上述したひとつめの「S」を使い、体重が180キロを超えていたオペラ歌手の中島啓江が残念ながら亡くなったこと話すのもひとつの方法です。しかし、やや極端な事例であることも事実。
この場合、正面切ってメリットを挙げることも選択肢になります。
・このダイエット法によってより健康的な生活が実現できます。
しかしこれは、一つ目のSである命や財産を失うことを引き合いに出すパターンよりかなり印象が弱いことが否めません。このような場合は、「すぐに」「簡単に」「~だけ」など副詞・助詞等をつけメリットを強調すると弱点が補われます。
・このダイエット法を取り入れるだけですぐに健康的な生活が実現できます。
・ここで正しい判断をするのはとても簡単です。それが明日の数百万円に直結します。
・この情報を知るだけで非常に簡単に就職活動の成功率が上がります。
・これはすごく簡単な方法なのに、すぐに効果が出ます。
セールストークじみてきましたが、こういった言い方は上手な話し方、伝わる話し方のひとつのコツです。セールストークの世界なら、健康食品は「死」のイメージでプレッシャーをかけるのが効果的でしょうし、ダイエットなら生命には直結しないないので「今すぐ」「簡単」がキーワードになります。このようなことは広告業界の方なら新人の時に習うのでしょうが、分かりやすい例ですので掲載いたしました。
みっつめのS=「数字」
タイトルや小見出しに数字を入れることは、ある程度有名なテクニックかもしれませんが現状でも効果があります。このテクニックを知っている人には「またか」と思われそれほど効果がないのですが、現状でそういう人の割合はおおむね25%以下だと思われますので、まだまだ利用価値があります。
・ダイエットに失敗する人の3つのパターン
・いま米国に渡航するなら知らないと命にかかわるたったひとつのこと
・海外旅行の裏技を72個集めました
上の2つは数字が少ないことで「短時間に効率よく真実を知りたい」という人の情報に対する欲望に訴えかけるものです。3つ目の「72個」のほうは、たった1つの話で72もの情報を得ることができるという気持ちにさせるので、結局「短時間に効率よく真実を知りたい」という人の欲望に訴えかけるものです。
秘訣は数字を極端に少なくまたは多くすることですが、どちらにしても「短時間に効率よく真実を知りたい」という欲につながっていくのが面白いところです。
よっつめのS=「サプライズ」
秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼の詩人になると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、根強い曲者である。
この一節は太宰治の『秋』という短編小説の中にあります。人がこの文章を読むとき、無意識のうちに感情語に注意して読んでいます。
秋は、ずるい悪魔だ。夏のうちに全部、身支度をととのえて、せせら笑ってしゃがんでいる。僕くらいの炯眼の詩人になると、それを見破ることができる。家の者が、夏をよろこび海へ行こうか、山へ行こうかなど、はしゃいで言っているのを見ると、ふびんに思う。もう秋が夏と一緒に忍び込んで来ているのに。秋は、根強い曲者である。
擬人化された「秋」…せせら笑っている
「僕」…秋をずるい曲者だと思い、だまされている家族をふびんに思う。
人は文章の論理を読むのではなく、感情(あるいは具体例)に注意してそこを軸足に内容をつかもうとするのです。そのため感情に訴えない文章は、どれだけ論理的でロジックが通っていようと全く価値はありません。
×健康な生活を実現するためには、朝の生活習慣を変えることが重要です。
○私自身も驚いたのですが、朝30分早く起きて生活習慣を変えるだけで生活が一変しました。
このように驚き(サプライズ)を始め、喜怒哀楽の感情を文章に織り交ぜていくことが重要です。
まとめ 伝わる話し方、上手な話し方に不可欠な4つのSとは
ひとつめのS=「死」
ふたつめのS=「すぐに、簡単に」
みっつめのS=「数字」
よっつめのS=「サプライズ」
覚えかた「数字に驚きすぐに死ぬ」
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